各担当者が資料を読み上げる。数字が下がった理由を説明する。残り時間が少なくなり、改善案は「別途相談」で終わる。
これでは、会議のために報告資料を作り、報告するために会議を開いています。
週次マーケティング会議の目的は、すべてを共有することではありません。先週までの事実を使い、次週に何を変えるかを決めることです。
週次会議で決めるのは3種類
一週間で事業戦略を毎回変える必要はありません。週次会議で扱うのは、短い周期で修正できる判断です。
- 異常や遅れへの対応
- 実行中の施策で、次週に変えること
- 上位会議へ持ち上げる未解決事項
この三つに入らない情報は、会議前の共有資料へ置けます。
施策の進捗、広告費、アクセス、制作状況は必要です。ただし、それ自体を議題にしません。予定との差、目標との差、前回判断からの変化がある箇所だけを会議で扱います。
会議前に揃えるもの
会議時間を判断へ使うには、事実の確認を前日までに済ませます。
一枚の週次シート
資料は次の項目へ絞ります。
項目 | 記入内容 |
|---|---|
主要KPI | 実績、目標、前週差、異常の有無 |
実施内容 | 前回決めた変更と実行結果 |
分かったこと | 事実と解釈を分けて記載 |
判断したいこと | 選択肢、推奨案、期限 |
障害 | 他部署・経営判断が必要な事項 |
グラフを増やすより、「この変化を受けて何を決めたいか」を一行で書くことが重要です。
数字の定義
売上、CV、商談数など、会議で使う数字は分子、分母、対象期間、データソースを固定します。数字の正しさを毎週議論すると、判断へ進めません。
速報値と確定値が異なるなら、どちらを何の判断に使うかを注記します。
決裁者の参加
予算、優先順位、公開可否を決める議題があるなら、決められる人を呼びます。参加できない場合は、事前に判断条件を預かるか、回答期限を設定します。
決裁者がいない会議で結論を出そうとすると、同じ議論がもう一度発生します。
60分で進めるアジェンダ
参加者や施策数に応じて調整しますが、基本形は次の通りです。
時間 | 議題 | 到達点 |
|---|---|---|
0〜5分 | 前回決定の確認 | 完了・未完了・持ち越しを確定 |
5〜15分 | 主要KPIと異常 | 深掘りする論点を選ぶ |
15〜40分 | 重要論点1〜3件 | 継続・変更・停止を決める |
40〜50分 | 次週の実行 | 担当者、期限、完了条件を置く |
50〜55分 | 上位判断・障害 | エスカレーション先と期限を決める |
55〜60分 | 決定事項の復唱 | 認識差をなくす |
ポイントは、KPIを一つずつ説明しないことです。最初の10分で、判断が必要な変化だけを選びます。
論点が三件を超えるなら、優先順位を付けます。一件を決め切る方が、五件を途中まで議論するより前へ進みます。
「事実・解釈・判断」を混ぜない
会議が長くなる原因の一つは、観測した事実と、その理由の推測が同じ言葉で話されることです。
例を見てみます。
事実:商品AのCVRが前週より低下した
解釈:SNS広告からの新規流入が増え、意図の弱い訪問が増えた可能性がある
追加確認:チャネル別CVRと商品ページ到達率を見る
判断:SNS広告を止めず、訴求別に分けて一週間検証する
「SNS広告の質が悪い」は事実ではなく解釈です。解釈を事実として扱うと、十分な確認なしに停止や全面改修へ進みます。
進行役は、発言を否定せずに問い直します。
- それは確認できた事実か、原因の仮説か
- 判断に足りない情報は何か
- 今週中に戻せる変更は何か
- 決めない場合の影響は何か
この問いで、分析のための分析を防ぎます。
会議中に決める書式
決定事項は、文章ではなく実行可能な単位で残します。
必須項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
変更内容 | LPを改善する | ファーストビューの訴求を顧客課題別に2案検証 |
担当者 | 制作チーム | 山田さん |
期限 | 早め | 7月31日15時 |
完了条件 | 公開する | 計測タグ確認後に50%ずつ配信開始 |
確認日 | 次回 | 8月7日の週次会議 |
「検討する」「確認する」を決定事項にする場合も、誰が、何を確認し、どの選択肢を持ち帰るかまで書きます。
会議後は議事録ではなく決定ログを残す
発言の全文記録は、後から読まれにくい。残すべきは、次の四つです。
- 確認した重要な事実
- 採用した解釈と保留した解釈
- 決定事項と担当・期限
- 未解決事項と次の判断者
翌営業日ではなく、会議終了時に画面上で確認します。記録担当者だけが理解している状態を避けるためです。
次回会議は、この決定ログから始めます。完了したかだけでなく、変更の結果何が分かったかを確認します。すると、会議が単発の管理ではなく、学習の連続になります。
月に一度、会議自体を見直す
週次会議も運用の一部です。次のチェックを月に一度行います。
- 主要な議題に十分な時間を使えたか
- 会議中に決まった割合は上がっているか
- 同じ未解決事項が繰り返されていないか
- 決定事項は期限までに実行されたか
- 参加する必要のない人はいないか
- 資料作成時間が過剰になっていないか
会議時間だけを短くするのが改善ではありません。判断から実行までの時間が短くなったかを見ます。
まとめ:「共有した」ではなく「何を変えるか」で終える
良い週次マーケティング会議は、情報量が多い会議ではありません。重要な変化を選び、原因の仮説を分け、次の行動を決められる会議です。
次の会議から、資料の最後に一欄だけ追加してみてください。
この会議で決めたいこと
その一欄が埋まらない資料は、会議で読み上げず事前共有へ回せます。空いた時間を、判断と学習へ使えます。
Ansatzは、KPI、週次会議、決定ログ、施策実行を一つの運営サイクルとして設計します。定例会議はあるのに改善が進まない場合は、マーケティングオペレーション支援をご覧ください。