年間目標を12か月で割り、3か月分の数値を置く。それだけでは、90日計画は動きません。

マーケティングには、顧客理解、制作、配信、分析、社内承認など、結果が出るまでに時間差のある仕事があります。数値だけを分割すると、途中で何を確かめ、何を変えるかが抜け落ちます。

90日計画は、限られた期間で解く問いを決め、実行と観測を通じて、次の判断に使える学びを残す計画です。

90日は成果が出切ることを保証する期間ではありません。次の判断に必要な証拠を集める単位です。購買周期や商談期間が長い事業では、最終成果の判定を次の期間へ持ち越します。

90日で決めるのは施策数ではなく「解く問い」

最初に「SEOを10本」「広告を3媒体」と置くと、実行が目的になります。先に事業上の症状と原因仮説を分けます。

たとえばECの新規売上が不足している場合でも、原因候補は一つではありません。

  • 適切な顧客へ届いていない
  • 商品の違いが理解されていない
  • 購入前の不安が解消されていない
  • 初回購入の条件が合っていない
  • 計測上、新規と既存を正しく分けられていない

90日ですべてを解こうとせず、「購入前の不安がCVRを下げているか」のように、観測と介入ができる問いへ絞ります。

90日計画を作る7つの手順

1. 変えたい事業成果を一つ置く

売上、粗利、商談、継続など、期間内に近づけたい成果を決めます。単月の達成を保証する数字ではなく、優先順位をそろえる基準です。

2. 現在地を同じ定義でそろえる

対象期間、顧客区分、除外条件、データ更新日を明記します。会議ごとに数字の定義が変わると、変化を判断できません。

3. 解く問いと原因仮説を決める

観測された症状、考えられる原因、根拠、不足情報を分けます。確認前の原因は事実として書きません。

4. 最大3つの重点へ絞る

重点はチャネル名ではなく、変えたい顧客行動で表します。「SNS強化」ではなく「初回訪問者が利用場面を理解できる状態」とします。

5. 実験と基盤整備を分ける

顧客向け施策だけでなく、計測修正、承認短縮、データ整備も計画に入れます。基盤が欠けたまま施策を増やすと、結果を解釈できません。

6. 先行指標と停止条件を置く

最終成果だけでなく、途中で確認できる行動を決めます。同時に、費用上限、ブランド毀損、在庫、問い合わせ増加などの停止条件も置きます。

7. 週次・30日・90日の判断を分ける

  • 週次: 実行の詰まりと異常値を解消する
  • 30日: 仮説・配分・対象を修正する
  • 90日: 継続、拡大、停止と次の問いを決める

コピーして使える90日計画シート

項目

記入内容

事業成果

90日で近づけたい成果

現在地

数値、期間、定義、更新日

解く問い

今回確かめたいこと

原因仮説

根拠と未確認事項

重点行動

変えたい顧客・社内行動

実行

施策、基盤整備、担当、期限

判断指標

成果、先行指標、ガードレール

見直し

週次、30日、90日の判断

残す資産

データ定義、手順、顧客理解、実験記録

各重点に担当者を置くだけでなく、継続・停止を決める人も明記します。

90日を3つの期間に分ける

1〜30日:観測と準備

データ定義、顧客行動、既存施策、承認経路を確認します。すぐ試せる小さな変更は行いますが、最初から大規模展開はしません。

31〜60日:重点仮説を試す

対象、訴求、導線、運用方法を限定して実行します。複数要素を同時に変えすぎず、何から学べたかを残します。

61〜90日:再現性を確かめる

一度の改善を成功と決めず、別期間や別対象でも同じ傾向が出るかを見ます。再現しない場合は、条件を特定して次の計画へ渡します。

少数商談のBtoBや季節性の強い商材では、90日だけで受注の再現性を断定しません。先行指標、商談内容、失注理由を材料に、何が分かり、何を継続検証するかを決めます。

よくある失敗

  • 施策を詰め込み、何を確かめる計画か分からない
  • 年間目標を均等に割り、季節性や準備期間を無視する
  • 実行担当はいるが、停止を決める人がいない
  • 週次会議が進捗報告だけになり、仮説を更新しない
  • 90日後に数値だけが残り、判断理由や手順が残らない

計画変更は失敗ではありません。新しい事実に基づいて変えた理由が残れば、組織の学習になります。

まとめ:90日後に、次の判断が速くなる計画を作る

90日計画では、目標、解く問い、重点行動、実行、指標、見直し、残す資産を一枚でつなぎます。

最初の一歩は、現在の施策一覧の上に「この90日で何を確かめたいか」を一文で置くことです。答えが複数あるなら、優先順位を決めるところから始めます。

計画から実行運用まで整えたい場合は、マーケティングオペレーション支援またはお問い合わせをご覧ください。

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