提案書に並ぶ施策が多いほど、支援の質が高いとは限りません。
広告、SEO、SNS、CRM、分析。候補が網羅されていても、どの前提で選ばれ、誰が何を決め、結果からどう変えるかが曖昧なら、契約後に調整が増えます。
マーケティング外注の提案は、見栄えや施策数ではなく、課題の前提、責任範囲、検証方法、データ、費用、契約後に自社へ残る資産を同じ条件で比較します。
比較前に、依頼条件を一枚にそろえる
会社ごとに違う依頼を出すと、提案金額も範囲も比較できません。最低限、次を共有します。
- 変えたい事業成果と期間
- 現時点で確認できる事実
- 原因の仮説と未確認事項
- 対象顧客・商品・地域
- 予算の考え方と社内工数
- 利用可能なデータ・ツール
- 社内の責任者と意思決定の流れ
- 必須条件と対象外
答えが未確定でも構いません。「不明」と書けば、提案会社がどのように確かめるかを比較できます。
提案書を見る8つの項目
1. 課題の前提
提案が、どの事実と仮説に基づくかを見ます。「認知不足」「顧客理解不足」と断定している場合は、何を確認したかを聞きます。
2. 戦略と施策のつながり
誰のどの行動を変えるため、なぜその施策を選ぶのか。チャネルの一覧ではなく、選択理由とやらないことが説明されているかを確認します。
3. 支援範囲と対象外
企画、制作、入稿、運用、分析、会議、社内調整のどこまで含むか。修正回数、緊急対応、素材準備、ツール費も確認します。
4. 責任と意思決定
支援会社が実行責任を持つ範囲、自社が承認・提供するもの、最終判断者を分けます。「伴走」「一気通貫」といった言葉だけでなく、具体的な受け渡しを見ます。
5. 検証と評価
成果指標、先行指標、確認頻度、継続・修正・停止の条件があるか。短期に結果が出ない施策なら、途中で何を学ぶかを確認します。
6. データ・アカウント・成果物の扱い
広告、解析、CMSなどのアカウント所有者、データの閲覧・持ち出し条件、制作物や設定の納品範囲を確認します。契約終了後に自社がアクセスできる状態かも重要です。
7. 費用と追加条件
初期費、月額、広告費、制作費、ツール費、外部費、成功報酬、追加作業を分けます。安いか高いかより、何に対する費用か、社内工数を含めた総負担を見ます。
8. 契約後に残る資産
施策結果だけでなく、顧客理解、判断基準、データ定義、業務手順、実験記録が自社に残るか。担当者が変わっても次の判断に使える状態を確認します。
比較マトリクス
比較項目 | 提案A | 提案B | 確認質問 |
|---|---|---|---|
課題の前提 | 事実と仮説は何か | ||
戦略・施策 | なぜこの施策を選ぶか | ||
範囲・対象外 | 誰が何を用意するか | ||
責任・承認 | 最終判断と相談条件は何か | ||
検証・停止 | 何を見て変えるか | ||
データ・権利 | 終了後に何を引き継げるか | ||
総費用・社内工数 | 追加料金が出る条件は何か | ||
残る資産 | 次回に再利用できるものは何か |
重要度に応じて重みを付けても構いません。ただし合計点だけで決めず、情報管理、法令、アカウント所有、解約後のアクセスなど、満たさなければ契約できない条件を別に置きます。
提案面談で聞く10の質問
- この提案が前提にしている課題仮説は何ですか
- 契約後の最初の30日で何を確認しますか
- 施策の優先順位は何を基準に変えますか
- 自社側に必要な担当者と時間はどれくらいですか
- 意見が割れたとき、誰が何を材料に決めますか
- 成果が出ない場合、どの時点で何を見直しますか
- 月次報告では、事実・解釈・次の判断をどう分けますか
- アカウント、データ、制作物は誰が所有しますか
- 見積もり外になる作業は何ですか
- 契約終了時に、何をどの形式で引き継ぎますか
回答のうまさだけでなく、曖昧な前提を認め、確認方法を示せるかを見ます。
注意したい提案の状態
- 現状確認前に成果を保証する
- 施策は多いが優先順位と停止条件がない
- 自社側の作業・承認時間が書かれていない
- 成果指標が媒体内の数字だけ
- アカウントとデータの扱いが曖昧
- 「独自ノウハウ」を理由に判断過程が共有されない
- 終了後の引き継ぎが成果物一覧にない
これらが一つあるだけで不適切とは限りません。提案段階で確認し、契約書・業務範囲へ反映できるかを見ます。
安さと提案数以外に、社内との相性を見る
支援会社だけで成果は完結しません。商品情報、顧客対応、承認、データ、営業連携など、自社側の動きが必要です。
比較時には、定例会の雰囲気よりも、次の実務相性を確かめます。
- 判断に必要な情報を双方が出せるか
- 不明点や失敗を早く共有できるか
- 社内の承認速度に合う計画か
- 現場が使える粒度で記録が残るか
- 支援範囲を状況に応じて見直せるか
まとめ:提案は、契約後の運用を先に見る
マーケティング外注の提案比較では、課題前提、戦略、範囲、責任、検証、データ、費用、残る資産の8項目をそろえます。
提案書の完成度ではなく、契約後に誰が何を判断し、成果が出ないときにどう変え、終了後に何が残るかを見る。比較マトリクスの空欄は、契約前に確認すべき質問です。
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